| 1.インフルエンザをもっと知ろう! インフルエンザとは、流行性感冒(流感)とも呼ばれる急性の伝染病で、その語源は イタリア語のinfluenza(影響という意味)だと言われています。例年12~3月頃に流行することから、天体や寒気の「影響」を受けている病気だと考えられていたようです。 古くは古代エジプト時代から人間と関係し、時として恐ろしいパンデミック(世界的大流行)を起こすインフルエンザとは、どのようなものなのでしょうか。 ■インフルエンザウイルスの種類 ご存知のように、インフルエンザはウイルスによってヒトからヒトへ感染します。 ウイルスの型はABC型の3種類に分けられ、流行するウイルスの型は毎年違っています。 | ○A型…危険レベル高 | ウイルスの表面にある糖タンパク(HA:ヘマグルチニンとNA:ノイラミニダーゼ)が変異を起こしやすく、いわゆる新型インフルエンザとなる可能性があります。新型はほとんどの人が免疫を持っていないため、パンデミックの危険性が非常に高くなります。 現在H1N1型からH16N9型まで確認されているA型ですが、その中でもよく知られているのはAソ連型(H1N1)とA香港型(H3N2、H1N2、H2N2)で、1997年に話題となった高病原性(強毒性)鳥インフルエンザはH5N1型です。 | | ○C型…危険レベル低 | | 小児期に感染して呼吸器感染症の原因になりますが、症状は通常の風邪に似ていて軽く、多くの人が免疫を持っています。また、糖タンパクの遺伝子がほとんど変化しないので免疫が一生続き、大流行を起こすことはありません。 | | ○B型…危険レベル中 | | 感染すると症状は重いですが、糖タンパクの遺伝子がかなり安定しているので免疫が長期間有効となり、2度目に感染する確率は低くなっています。最近では2年に1回ほどの小さな流行を繰り返しています。 | ■インフルエンザの特徴 インフルエンザで最も警戒しなければならないのは、その感染力の強さと、合併症を併発して重症化する場合があるということです。さらに、インフルエンザは感染してから発症するまで潜伏期間があり、発症の前日から他人に感染する可能性があるので、感染の拡大を阻止するのは困難だとされています。 インフルエンザは国が指定する感染症であり、もし感染した場合は学校や会社を休んで集団感染を防止しなければなりません。集団感染が判明した場合は学級閉鎖や臨時休業になることもあります。 小児や高齢者は重症化の可能性が高いため、インフルエンザワクチンの予防接種を受けることが推奨されています。 小児の場合、中耳炎や気管支喘息、後遺症の恐れがあるインフルエンザ脳症、発熱に伴う熱性けいれんを起こすことがありますので慎重に対応しなければなりません。特に急性脳症の死亡率は10~30%と非常に高くなっています。 高齢者の場合は、肺炎球菌による肺炎を起こす場合があります。抗生物質の投与で回復しますが、こちらも死亡率が高いので注意が必要です。 また、高齢者だけでなく全ての年齢層において、呼吸器や循環器、腎臓に慢性疾患を持つ人、糖尿病のような代謝の持病がある人、免疫力が弱い人などは、インフルエンザの感染によって病状の悪化や肺炎などの感染症につながる恐れがあり、厳重な警戒が必要です。 ■インフルエンザの症状 インフルエンザの症状は通常の風邪と似ていますが、はっきり違うのは「38度以上の急激な高熱が出る」ということです。時には40度以上になることもあるほどです。 その他の症状としては、鼻水、くしゃみ、関節や筋肉の痛み、悪寒、頭痛、腹痛、喉の痛み、全身倦怠感などが挙げられます。 自覚症状はかなり強くつらい思いをしなければなりませんが、健康で体力のある人であれば通常3日から1週間ほどで回復します。 | | インフルエンザ | 通常の風邪 | 原因 | インフルエンザウイルス A型、B型、C型 | 200種類以上のウイルス(時に細菌) ライノウイルス、アデノウイルスなど | 症状発現 | 全身症状 | 局所症状 | 主な症状 | 激しい咳、悪寒、頭痛 鼻水、鼻づまりは後から出る 筋肉痛、関節痛などの全身痛 強い全身倦怠感 のどの充血や扁桃腺の腫れ 結膜の充血 | 軽い咳、くしゃみ、鼻やのどの乾燥 鼻水、鼻づまりは引き始めに出る のどが腫れる場合もあり | 発熱 | 発熱 38~40度の急激な発熱が3~7日継続 | 37~38度の微熱または発熱なし | 進行 | 急激 | 緩慢 | 感染力 | 強い、短期間に広まる | 弱い、徐々に広まる | 合併症 | 気管支炎、肺炎、脳炎、脳症 | ほどんどなし | その他 | 重症化する場合が多い 小児や高齢者の死亡率が高い | 重症化することはほとんどない | ■インフルエンザの感染経路 インフルエンザウイルスは感染者の鼻水、唾液、排泄物などに含まれ、主な感染経路は次の2通りとされています。 ①飛沫感染 感染者の咳やくしゃみによって生じる飛沫(ひまつ)を鼻や口から吸い込み、それに含まれるウイルスが粘膜に触れることによって感染するのが飛沫感染です。飛沫は秒速30~80cmほどで1~2m先まで勢いよく飛び散るため、感染者との距離が近いと感染する可能性が高くなります。 また、同じ飛沫でも、水分が蒸発した小さな粒子(飛沫核)の状態での感染は空気感染と呼ばれます。飛沫核は非常に軽いため、水分を多く含んだ飛沫とは違ってすぐには地面に落ちず、落下するのに秒速0.06~1.5cmほどかかります。しかし、一度落下したウイルスでも再び空気中に舞い上がって長い時間浮遊し、空気の流れでさらに広範囲に広がることがあり、換気の悪い部屋では感染が拡大する恐れがあります。 ②接触感染 ドアノブや机などに付着した感染者の飛沫に触れた後で、自分の目や鼻、口などの粘膜を触ったために起こる感染が接触感染です。時には嘔吐物や排泄物から感染することもあるので、衛生環境の悪いところでは感染が広がりやすくなります。 飛沫中のウイルスは、数時間から長くて数十時間も感染力を維持すると言われています。 次のページへ ▲ページ上部へ |