| ①インフルエンザ特有の症状 ~カゼとの違い~ インフルエンザとカゼ(普通感冒)では、原因となるウイルスの種類が異なります。 通常のカゼの原因となるウイルスの代表的なものは「ライノウイルス」です。このウイルスは、人の体温の高さでは生きられないので、ノドの奥まで入ってきません。したがって、これにかかっても通常は軽症ですみます。ノドのまわりの扁桃組織や鼻に症状が現れるのが一般的なカゼといわれるものの特徴です。 それに対してインフルエンザは「インフルエンザウイルスA,インフルエンザウイルスB」が原因となる病気で、突然現れる高熱(38~40℃)、頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身の症状が強いのが特徴です。併せてノドの痛み、鼻汁、咳などの症状もみられ、これらの激しい症状は通常3~5日間ほど続きます。 さらに気管支炎や肺炎を併発しやすく、重症化すると脳炎(※1)や心不全を起こすこともあり、体力のない高齢者や乳幼児、もともと呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ方々は、十分に注意する必要があります。小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症になるケースもあります。 日本では、例年12月~3月がインフルエンザの流行シーズンで、一旦流行が始まると、短時間に膨大な数の人に感染することが予想されます。インフルエンザが大流行した年には、高齢者の冬季の死亡者数が普段の年より多くなるということからも、だらだらと流行する普通のカゼとは異なります。 | | インフルエンザ | 風邪(カゼ) | 初期症状 | 発熱、悪寒、頭痛 | 咽喉頭の乾燥感、くしゃみ | 主な症状 | 発熱、筋肉痛、関節痛 | 鼻汁、鼻閉 | 熱症状 | 38~40℃ | 微熱 | 倦怠感 | 高度 | ほとんどなし | 鼻汁、鼻閉 | 後期より著しい | 初期より著しい | 咽頭 | 充血のときに扁桃腫脹 | やや充血 | 結膜 | 充血 | アデノの場合充血 | 合併症 | 気管支炎、インフルエンザ肺炎、脳症、細菌性脳炎 | まれ | 病原 | インフルエンザウイルスA,B | ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスC | 【※1 インフルエンザ脳症について】 インフルエンザの発熱から早期の段階(24~48時間以内)で、嘔吐、異常行動、意識障害、けいれんなどがみられ、1歳をピークとして幼児期に最も多く見られます。インフルエンザの流行により異なりますが、1シーズンに100~300人の小児がインフルエンザ脳症を発症するといわれています。A香港型の流行時に多発しますが、B型でも発症します。死亡率は当初約30%でしたが、最近は10%程度に低下しています。後遺症は約25%にみられます。 毎年流行する季節性のインフルエンザとは違い、突如、強烈な流行が発生する、まったく新しいウイルスによるインフルエンザのことを「新型インフルエンザ」といいます。「スペイン風邪」「アジア風邪」「香港風邪」など世界的に大流行し、多くの死者を出したインフルエンザのことです。 最近では2009年に豚インフルエンザ由来のH1N1型の新型インフルエンザが発生しました。このウイルスは人の呼吸器感染にとどまる弱毒型で、通常の季節性のインフルエンザと同じような症状が出ます。(2011年4月の厚生労働省の発表で、H1N1型インフルエンザは新型インフルエンザから季節性インフルエンザに変わりました。) ここ数年恐れられているのは、毒性の強い、鳥インフルエンザウイルスH5N1型が突然変異を起こし、人から人に感染する新たなインフルエンザになった場合です。 もし新型インフルエンザが発生したら、感染拡大を防ぐことは容易ではありません。爆発的に世界中で大流行すると考えられています(パンデミック)。それには以下のような理由が挙げられます。 【感染拡大を防ぐのが難しい理由】 ■世界人口が67億人となり、人口密度が高い。 ■高速大量輸送時代、交通機関が発達し、世界中で人の往来がある。 ■新型インフルエンザに対してほとんどの人が免疫をもっていない。 ■感染力そのものが強い。飛沫感染、接触感染、場合によっては空気感染もする。 ■潜伏期間からウイルスを外に出すので、自覚症状のないまま感染をひろげてしまう。 ■ワクチン供給が間に合わない、行き渡らない。 | 新型インフルエンザは一旦大流行し、1~2年たって多くの人が免疫を持つようになると、やがては季節性のインフルエンザとなって、次の新型インフルエンザがでてくるまで、毎年流行し続けるようになるとされています。先ほども述べましたが、2009年のH1N1型の新型インフルエンザは2011年に終息宣言がなされ、季節性のインフルエンザとなりました。 季節性のインフルエンザは、ほとんどの人が、それらのウイルスについて、過去の感染やワクチン接種によって基礎免疫を持っているため、感染しても重症化する可能性は低いですが、高齢者や乳幼児、妊婦や持病を持った方のような「ハイリスク」と呼ばれる方々は注意が必要です。 2009年、新型インフルエンザの感染者が確認された時、日本各地でマスクが品切れになるという事態が起こりました。「備えあれば憂いなし」。いつまた新型インフルエンザが大流行するかわかりません。大規模な感染、莫大な被害が生じた場合を想定し、可能な限り準備を進め、できるだけその被害を少なくするという危機管理の視点がもっとも重要です。 そのために、インフルエンザに対する正しい知識を持ち、ウイルスができるだけ体に入り込まない環境作りを心がけましょう。 ▲ページ上部へ ②インフルエンザウイルスについて インフルエンザは「インフルエンザウイルス」が原因となる病気です。そもそも「ウイルス」とはどういうものでしょうか。 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類があります。これらはウイルス粒子の中にあるタンパク質の性質(抗原性)によって分類されています。抗原とは抗体を作らせる物質で、これが3種類あるということです。それぞれの特徴を感染後の症状でみると、C型は軽い風邪症状を、B型は季節性に流行するインフルエンザを引き起こします。そして季節性流行の原因ともなり、周期的に世界的流行を引き起こすのがA型インフルエンザウイルスです。 インフルエンザウイルスの大きさは0.1ミクロンくらいで、これを米粒の大きさに置き換えると、大腸菌などのバクテリアは1~6ミクロンでおよそ野球のボールくらい、ヒトの細胞は5~80ミクロンで車のタイヤ程度の大きさになります。このタイヤを世界最高峰エベレスト山(8848メートル)の2倍くらいの高さに積み上げられたのが人間ひとりの大きさになりますから、米粒大のウイルスがいかに小さいものであるかがわかります。 またウイルスの性格はバクテリアや細胞と大きく異なります。バクテリアや細胞は自分で動いたり活動したりしますが、ウイルスは単体では動いたり活動したりしません。しかし、ウイルスがバクテリアやヒトの細胞にくっつくと、自分の中にある設計図やデータをバクテリアや細胞内に送り込み、バクテリアや細胞に備わっている機能を利用して、勝手に自分自身をたくさん複製させます。何百個も複製させると、今度はバクテリアや細胞から脱出し、隣の細胞や血流にのって離れた細胞にまで感染していきます。ウイルスに感染したバクテリアや細胞は、次々と機能不全に陥ったり死んだりしてしまいます。多くの細胞がウイルスに感染すると、ヒトの命さえ脅かす存在となるのです。 ウイルスが怖いのは、それだけではありません。ウイルスの脅威、それは日々「変異」していることです。パソコンのウイルスが次々と登場し、それに対する対策が頻繁にアップデートされているのを想像していただければ分かりやすいでしょう。パソコンのウイルスが次々と新しく登場するのと同じように、本物のウイルスも次々と形を変えて登場してくるのです。新しいウイルスに対してほとんどの人が免疫を持っていないため、新型インフルエンザが発症すればパンデミック(感染症による世界的流行)が起こることも心配されます。 2009年4月、豚インフルエンザH1N1型(弱毒型)が、「人から人」に感染する新型インフルエンザになったことで、世界中が脅威に怯えました。(2011年4月、H1N1型インフルエンザは季節性インフルエンザになりました。)当時、日本の各地でマスクが品切れになるという事態が発生しました。また、強毒型のH5N1型鳥インフルエンザウイルスからの新型インフルエンザの脅威も依然として心配されています。 ところで、インフルエンザウイルスには「H1N1型」や「豚、鳥」などの動物の名前がついているのはどうしてでしょうか。 A型インフルエンザはウイルス表面のHAとNAの2種類のタンパク質の違いによって、より細かい種類(亜型)に分けられます。 HA(ヘマグルチニン)はH1~H16の16種類あり、NA(ノイラミニダーゼ)はN1~N9の9種類あります。それぞれの組み合わせでH1N1~H16N9の144種類の亜型があります。「H1N1型」はHAが1番目、NAが1番目の亜型ということです。 Hの1番目は弱毒型のウイルスですが、Hの5番目と7番目の一部が強毒型のインフルエンザウイルスです。「H5N1型」鳥インフルエンザウイルスは強毒型で、今後ヒトの間での流行が危惧されています。  もともと鴨など水鳥の世界には、144種類の亜型すべてのインフルエンザウイルスが存在していることが知られています。さらに、水鳥はウイルスに感染しても通常無症状で、水鳥とウイルスは共存関係にあると考えられています。水鳥の体内において、インフルエンザウイルスを排除しようとする働きがなく、さまざまな型のウイルスが水鳥のなかに安住の地を得ているのです。また、A型インフルエンザは動物とヒト、いずれにも感染する「人獣共通感染症」です。少なくとも、ブタ、アザラシ、トラ、クジラといった動物たちは、A型インフルエンザの宿主になることが知られています。なかでも、ブタはトリ型とヒト型の双方のインフルエンザウイルスに感受性を有しており、両ウイルスの遺伝子が再集合するための場を提供しています。こうしたウイルス遺伝子の再集合が新型ウイルスとなって、ヒト社会に伝播するきっかけとなっています。 本来、鳥インフルエンザは鳥類の間で、豚インフルエンザはブタの間で流行するインフルエンザです。それがヒトへも感染することがあるという理由は二つあります。第一に、ウイルスが「突然変異」によってヒトへの感染性を獲得する場合です。第二に、先ほどのブタのケースのように、トリ型とヒト型のインフルエンザウイルスが、ある宿主に重感染し、遺伝子が再集合することによって、互いの遺伝子を併せ持った「キメラウイルス」を増殖させ、そのなかでヒトでの複製に適し、しかも新たな高原性を獲得したウイルスが偶発的にヒト社会に持ち込まれた場合です。 私たちは、まったく未知の新しいウイルスと遭遇することになります。当然、ほとんどのひとが免疫をもっていません。新型インフルエンザウイルスは強い感染力を持ち、世界中で大流行となる可能性があります。発生したその瞬間からの対処法、事前の備え、私たち一人一人が危機意識をもって、できることから準備しておくことが大切です。 ▲ページ上部へ ③インフルエンザ感染経路と潜伏期間 一般のカゼは手から手による「接触感染」の頻度が高いといわれていますが、インフルエンザのウイルス粒子は患者の咳やくしゃみ、痰などの飛沫を介して感染する「飛沫感染(※1)」が中心で、一度に多くの人を感染させるのに適した様式となっています。 咳やくしゃみで飛沫が届くのは半径1m~2m以内、さらに「空気感染(※2)」(空中を浮遊するウイルスの微粒子を吸い込むことによる感染)で広がることもあります。また患者の鼻水や唾液のウイルスが手を介して感染することもあります。 インフルエンザウイルスの大きさは0.1ミクロン程度で非常に小さく、主として上気道(口や鼻)からヒトの体に侵入します。その後、鼻やのどの粘膜で急速に増殖し、24時間以内に気管や気管支に広がります。たった1個のインフルエンザウイルスが、8時間後には100個に増殖し、16時間後には1万個、24時間後には100万個以上に増殖するのです。感染した細胞の周辺では炎症が起き、高熱・筋肉痛・倦怠感・咳・鼻づまりなどの症状がでます。 感染から発症までの潜伏期間は1~4日、多くは2~3日となっています。しかし、ウイルスの体外への排出は、症状が現れる1日前ぐらいからすでに始まっており、症状が出た日にピークを迎えます。つまり、現実には症状が現れた時には、すでに別の人にウイルスを感染させているという状況が起こっています。インフルエンザの感染拡大防止が困難な理由です。患者隔離によって感染予防を行おうとするならば、症状が出る前に感染者を特定しなければなりませんが、現実的にはそのようなことは不可能です。 成人の場合、ウイルスを体外に排出する期間は4~6日です。感染者はこの期間、感染性を持っていることになります。子どもの場合、とくに幼い子どもの場合は、ウイルスの排出期間は7日以上、場合によっては1ヶ月以上になることもあります。このことも、インフルエンザの感染予防を困難にしている理由です。 ※1〔飛沫感染〕 感染者のくしゃみや咳、会話などにより飛び散ったウイルスの粒子(1000分の5mmよりも大きいもの)を吸い込むことによって感染します。 飛沫が飛び散る範囲は、およそ半径1m~2mです。 通常のインフルエンザでみられる感染です。新型肺炎SARSもこの飛沫感染によって感染が拡大しました。 ※2〔空気感染〕 ウイルスの粒子が1000分の5mmよりも小さい場合、飛沫核と呼びます。空気感染はこの飛沫核を人が吸い込むことで起こる感染です。 飛沫核は大変小さいため、ホコリとともに数時間空中を漂います。またエアコンなどの空調システムにより、空気の流れに乗って移動することもあります。 多くの人が集まる閉鎖的な空間では、同時に多くの人がウイルスに感染することになります。(学校・オフィス・劇場・バスや電車や飛行機など) | 感染者が出てから2週間の試算 時間経過 | 感染拡大のシミュレーション | 1日目 | 一人の日本人が海外出張で新型インフルエンザに感染。 | 3日目 | 感染に気づかないまま帰国、東京近郊の自宅に帰宅。 | 4日目 | 東京丸の内の勤務先に電車で出社、発症。 | 8日目 | 首都圏の感染者、約8,600人。京阪神、名古屋、福岡、仙台に拡大。 | 9日目 | 首都圏の感染者、約33,000人。札幌、沖縄にも拡大。 | 14日目 | 全国の感染者、約358,000人。 | 【鳥インフルエンザのヒトへの感染経路について】 鳥インフルエンザウイルスが検出された養鶏場が立ち入り禁止となり、大量の鶏が処分されるというニュースを耳にします。 鳥インフルエンザとは、その名の通り主に鳥の間で感染・伝播するトリ型インフルエンザで、通常、ウイルスに感染した鴨などの渡り鳥から、他の鳥類(鶏、カラス)に広がっていきます。通常の鳥インフルエンザウイルスは弱毒型であるため、鶏が感染しても養鶏業者がほとんど気づかないほど軽い症状で、産卵率がやや低下する程度です。 しかし、中には注意しなければならないケースがあります。それは強毒型のH5型、H7型(一部)のウイルスです。いったん強毒型のウイルスにかかると、瞬く間に全身感染が引き起こされ、鶏は48時間以内にほぼ100%死んでしまいます。さらに糞便などが感染源となり、短時間のうちに広範囲に広がるため、養鶏業者は壊滅的なダメージを受けるのです。 特に恐れられているのがH5N1型鳥インフルエンザウイルスです。強毒型のこのウイルスは鳥類以外にも感染するからです。トラ、猫、ねずみ、ウサギ、テンなど多くの哺乳類にも感染が広がり、致死的な全身感染を引き起こします。 1997年には香港でヒトへの感染が確認されました。当時は極めて稀なケースであると考えられていましたが、その後もH5N1型鳥インフルエンザが流行し、多くの感染者が出ました。その患者のほとんどが重症に陥り、致死率は60%を超えています(2008年6月現在)。 これまでの報告では、鳥インフルエンザを発病した人は、感染した鳥を素手で触ったり、料理したり、加熱の不十分なまま食べたことにより発病したと言われています。 そのため、現段階では、感染した鳥や死んだ野鳥などを直接触らないことが、予防の第一歩となります。また、糞にもウイルスは潜んでいますから、鳥の排泄物が手に付かないようにすることも大切です。特に、鳥インフルエンザが発生した地域では、鳥に近づくときは、マスクや予防衣、予防用手袋などを装着する、よく手洗いすることが基本とされています。 ▲ページ上部へ ④自分でできるインフルエンザ予防対策 季節性のインフルエンザに加え、「いつくるかわからないが、確実にやってくる」と世界中から注目されている新型インフルエンザの脅威に対して、今、私たち一人一人ができること。 それはインフルエンザに対する正しい知識を持ち、ウイルスができるだけ体に入り込まない環境作りを心がけることです。可能な限り準備を進め、できるだけその被害を少なくするという危機管理の視点がもっとも重要です。 もしパンデミック(感染爆発)が起こった場合、どのような行動をすればよいのか、日常生活での注意点や、今から準備できること、気をつけておきたいことなどを具体的に紹介します。 【インフルエンザを予防する生活習慣】 ■人込みを避ける ウイルスに感染しないためには、ウイルスにさらされる場所に近づかないことが大切です。インフルエンザ流行時には、人込みや繁華街への外出をできるだけ控えましょう。インフルエンザは感染しやすいので、無理に仕事や学校へ行くと、急速に感染を広めてしまいます。 ■外出時の格好 外出時には、マスク、帽子、手袋などで体を覆い、ウイルスが全身に付着するのを避けます。さらに目からのウイルス侵入を防ぐために、ゴーグルやめがねを着用する選択もあります。 マスクは最も必要です。自分自身が感染するのを防ぐだけでなく、他人にうつすのを防ぐ目的もあります(※咳エチケット)。ウイルス対策用マスクは400種類以上あるといわれています。顔にフィットするものを選び、隙間ができないようにしましょう。新型インフルエンザの流行は2ヶ月ほど続くと予想されています。一人あたり20~25枚のマスクを備蓄しておきましょう。 〔不織布マスク〕 通常のガーゼマスクは、目の粗い布(ガーゼ)を重ねて作っていますが、不織布マスクは繊維に熱や科学的作用を加えて作った目の細かいマスクです。ウイルス粒子は非常に小さいため、普通のガーゼマスクでは簡単にすり抜けてしまいますが、不織布マスクは通しにくくなっています。 | 〔ウイルス対策用マスク〕 | マスクの性能検査にはさまざまな基準があります。新型インフルエンザ対策用として一般的なものはN95マスクで、N95というのはアメリカの検査機関による規格です。ウイルスと同じくらい小さな粒子のうち95%以上をカットします。さらに高性能なN99マスクもあります。価格は高くなりますが、効果はバツグンです。 ダチョウ抗体マスク・サージカル用マスクは、ダチョウの卵を利用して作ったインフルエンザウイルスに対する抗体を、マスク表面に塗布した高性能の医療用マスクです。 | | 〔その他のマスク〕 | | インフルエンザ対策にはもちろん、花粉やアレルギー対策として、乾燥防止のため、さまざまな商品が登場しています。販促用マスク、配布用マスク、広告用マスク、携帯用マスク、個包装マスクなどです。目的によってうまく使いましょう。 | ※咳エチケット 咳、くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。 鼻汁、痰などを含んだティッシュをすぐに蓋つきの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。 咳をしている人にマスクの着用を促す マスクの使用は説明書を読んで正しく着用する ■手洗い、うがいの施行 手洗い、うがいも感染症予防に効果があります。手のひらや甲はもちろん、指の間、爪の間、手首までしっかり洗います。抗菌剤入りのハンドソープ(または普通の石鹸)を使って洗いましょう。手洗いと一緒に洗顔もすると一層効果的です。 うがいについては、うがい薬などを使うとよいでしょう。 鼻洗いも鼻の粘膜についたウイルスを洗い流すので効果的です。 速乾性手指殺菌・消毒剤もあります。携帯すれば水のないところでもいつでも使えます。最近スーパーや飲食店、銀行などあちらこちらで見かけるようになりました。 ■室内の湿度管理 空気が乾燥すると、ウイルスを含んだ飛沫やホコリの類が空中を漂いやすくなる上に、付着した物質の表面で生き延びることができるため、インフルエンザにかかりやすくなります。さらに湿度が下がると、鼻の粘膜も乾燥しがちになり、防御機能が低下します。 乾燥を防ぐためにマスクを着用したり、加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保つようにしましょう。最近では、空気清浄機能にオゾンやマイナスイオンを発生させて殺菌する加湿器もあります。 ■十分な睡眠 「早寝早起き」は健康な体をつくる上で大切なことです。人間の体内にはいたるところに「体内時計」があり、ストレスホルモンと免疫力を交互に高めて、さまざまなストレスやウイルスから体を守っています。体内時計を正常に働かせるということは、体の免疫システムをしっかり作動させることになるのです。 ■バランスのよい食事 日頃からバランスのよい食事を心がけ、体力や抵抗力を高めることも大切です。また、人間の免疫システムの60~70%は腸の周りに集中しています。腸のコンディションを整えるためにも、必要な栄養素をしっかり摂取しましょう。 【今から準備しておくもの】 流行が始まってしまうと外出しにくい状況になりますし、流通が乱れて物資の供給が滞る可能性があります。今の間に準備しましょう。 ■食料品の備蓄(2週間分) ■日用品の備蓄 ■マスク(8週間分) ■常備薬 ■災害対策用品 | ▲ページ上部へ ⑤インフルエンザワクチンについて インフルエンザワクチンの効果については、専門家によってさまざまな意見がありますが、一般的にインフルエンザワクチンを接種することにより、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限に留めることができるといわれています。 しかし、100%効果を期待することはできず、また残念ながら十分な効果が現れないこともあります。 ワクチンの接種を受けないでインフルエンザにかかった65歳以上の健常な高齢者について、もしその人が接種していれば約45%の発病を阻止でき、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。小児については、1歳以上で6歳未満の幼児では、発病を阻止する効果は約20~30%で、1歳未満の乳児では対象症例数が少なく、効果は明らかにでなかったという報告があります。 さらにワクチンの効果は年齢・本人の体調・免疫状況・そのシーズンの流行株とワクチンに含まれているウイルス株の合致状況などによっても変わります。 しかし、特に65歳以上の方や、基礎疾患のある方(心臓、腎臓もしくは呼吸器系の機能に障害があり身の周りの生活を極度に制限される方、又はヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に障害があり日常生活が困難な方)は、インフルエンザが重症化しやすいので、ワクチン接種による予防効果が期待できます。 季節性のインフルエンザについては、前シーズンの流行状況などから、その年の流行の中心となるウイルスを予測して、毎年作られています。(日本ではインフルエンザのワクチンを世界保健機構(WHO)が推奨したウイルス株を参考にして作ります。) ワクチン接種による免疫の防御に有効なレベルの持続期間はおよそ5ヶ月ですので、毎年流行シーズンの前(12月上旬頃まで)に接種することが勧められています。 これに対して、新型インフルエンザのワクチンは、新種のウイルスによって起こるものなので、新型インフルエンザが発生する前にピッタリ適合するワクチンを作ることは不可能です。 しかし、強毒型のH5N1型新型インフルエンザウイルスは鳥インフルエンザウイルスが変化して発生することがわかっていますから、現在流行している鳥インフルエンザをもとに、事前にワクチンを作っておけば、重症化を防げるのではないかと考えられています。インフルエンザを完全に予防はできなくても、症状自体を軽くすることで治りやすくなるという考え方です。(専門家によっては効果がないという意見もあります。) そこで、新型インフルエンザとして出現の可能性が高いとされるH5N1型鳥インフルエンザウイルスをもとにしたワクチンの製造、開発が世界各国で進められています。(プレパンデミックワクチン) また、ワクチンは鶏の有精卵を使用しており、製造に1年以上時間がかかるといわれています。そのため、より製造期間の短い細胞培養の研究が進められています。日本でも開発がはじまっています。 しかし、これらはまだ研究開発の途中であることから、もし実際に今、新型インフルエンザが発生しても、ワクチン製造、供給は間に合わない可能性が高いのです。 ワクチンの備蓄が不足している間は、できるだけ多くの人を救うために、誰から使用するのか、優先順位がつけられることになります。一般の人より先に医療関係者を優先することや、重症化が予想される年代の方を優先することなどが想定されています。 大事なことは、そういう状況にあることをしっかり認識し、ワクチン以外の方法でも、感染が拡大しないように準備しておくことです。 一般的には「インフルエンザ予防→ワクチン」という図式が出来上がってしまっていますが、今一度、インフルエンザ予防対策について自分でできることから考えてみましょう。 ▲ページ上部へ ⑥インフルエンザにかかってしまったら~治療法~ どんなにインフルエンザ感染防止に努めていても、100%防ぐことはできません。 感染しても慌てず、すみやかに対応できるように、普段から体調チェックをしておきましょう。 感染すると3日ほどの潜伏期の後に、発熱から症状が現れるとされています。下記のチェックリストを参照に、気になる症状があれば、まずはかかりつけ医に電話をし、連絡の上で受診します。また、どこを受診したらよいかわからないときには、保健所等のインフルエンザ相談窓口で医療機関を教えてもらうこともできます。あらかじめ各機関の対応時間と電話番号を確かめておきましょう。 インフルエンザの診断は、臨床症状のみでは困難な場合もあり、インフルエンザの迅速診断キットを使用し、ウイルス検出があったかを確認します。 【症状チェック】 ▼次の3つの項目にあてはまれば、すみやかに医療機関を受診しましょう。 □ 地域内でのインフルエンザの流行 □ 急激な発熱(鼻水、せき、くしゃみなどの前触れがなく、急に高熱が出る) □ 38℃以上の発熱、悪寒 ▼さらに次のような症状があればインフルエンザを疑いましょう。 □ 関節痛、筋肉痛 □ 倦怠感、疲労感 □ 頭痛 □ 下痢、嘔吐 ▼また次のいわゆる「カゼ」症状も同時か、やや遅れて現れます。 □ 咳、鼻汁、くしゃみ □ のどの炎症 | 【インフルエンザにかかったときの注意点】 単なるカゼだと軽く考えずに、早めに医療機関を受診してアドバイスを受けましょう。 安静にして、できるだけ休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。 水分をしっかり補給しましょう。無理をして学校や職場などに行かないようにしましょう。 【薬の使用にあたって】 インフルエンザの治療に用いられる薬としては、抗インフルエンザ薬であるノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル)が有効であると考えられています。タミフルは、ウイルスの感染そのものを防ぐことはできませんが、体の中で増えたウイルスが広がるのを防いでくれます。発症後48時間以内に服用すると発症期間は通常1~2日間短縮され、ウイルス排泄量も減少します。ただし、48時間を過ぎると効果はないといわれています。 タミフルは医師が診断の上、その必要性を判断して処方します。 これまでタミフルを服用した10代の方が転落等により亡くなられる事例が報告されています。タミフル服用後、異常行動があらわれるという事例が多発したため、厚生労働省は因果関係を究明するための検討をしています。 インフルエンザに感染した場合、タミフルの販売開始以前においても異常行動の発見が認められており、また、まれに脳炎、脳症をきたすことがあることも報告されています。 このことから、インフルエンザと診断され、治療が開始された後は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあると考えられます。 そのため、万が一の事故を防止するため、特に小児、未成年者に対しては、インフルエンザと診断された後は、少なくとも2日間、保護者の方が小児や未成年者が一人にならないよう配慮することが重要です。抗インフルエンザウイルス薬としては、タミフルの他に、リレンザ、シンメトレルがあります。 【事前の準備】 インフルエンザ流行時は、家族や同僚の誰が寝込んでしまうかわかりません。 平時のうちにインフルエンザに対する理解を深め、家族や親しい人、また会社内で行動計画を話し合っておく必要があります。備蓄品の管理なども含め、状況を共有しておきましょう。 【自宅療養のポイントと注意点】 家庭で患者が療養する場合、看病する家族に感染しないように注意することが大切です。 看病する人は、飛沫感染のほか手を介しても感染するので、マスク、ビニール手袋をつけて看護します。手洗い、うがいも頻繁に行いましょう。感染者の触れたところは消毒しましょう。 部屋の換気を行い、空気中のウイルス濃度を下げましょう。 湿度を60%に保ちましょう。(加湿器がなければ濡れたタオルを部屋に干すなど) 感染者に熱がある時は氷枕や保冷剤などを使って冷やしましょう。頭だけでなく、首の周り、ワキの下、足の付け根など、大きな血管の近くを冷やすと効果的です。 食べるものは、消化がよくて、栄養のあるものを選びます。水分はスポーツ飲料などをいつでも飲めるようにしておきます。 感染者とタオルなどを共有しないようにしましょう。鼻をかんだティッシュはビニール袋に入れて捨てましょう。 15歳未満の患者にアスピリン系の解熱剤を与えてはいけません。インフルエンザ脳症を引き起こす可能性があります。薬のことは、医師や薬局で相談しましょう。 高熱や下痢が続く場合は脱水症状に気をつけましょう。経口補水液を備蓄しておくと、いざというときに役立ちます。 ▲ページ上部へ ⑦いざという時に慌てないために ~家族、学校、会社でのインフルエンザ対策~ もしも実際に新型インフルエンザが発生したらどうなるでしょうか? ここでは、パンデミックが発生した場合を想定して、医療機関をはじめ、さまざまな場所で起こりうることをシミュレーションしてみましょう。 新型インフルエンザウイルスは短期間で感染が広がるため、医療機関は感染者や感染が疑われる人が一気に詰め掛け、パンク寸前状態になると予想されます。2008年の数字では、国内にウイルス感染の防御体制が整っている指定病院は344ヶ所、ベッド数は約1700床ありますが、1日で10万人にのぼるとも試算される患者をケアすることはまず不可能です。医療品、医薬品、設備が絶対的に足りず、入院患者の間で院内感染が広がり、医療機関で働く医師や看護師なども不足し、人々は十分な手当てを受けることができなくなるでしょう。 さらに救急隊員の不足による混乱も予想されます。救急車が間に合わず、一般市民がマイカーやタクシーを使い、それが原因で道路は大渋滞し、さらに悪い状況が起こってしまいます。 このように医療サービスがマヒしてしまうため、多くの人が自宅療養、または看護するため自宅待機の状態に追い込まれるでしょう。 日常生活にも大きな影響があらわれます。モノを生産する工場が働き手不足となり、生産量が減ります。またトラックや鉄道などの物流システムが著しく滞り、たとえ商品ができたとしても、それを店まで届けることができなくなります。その結果、品薄状態となり、食料品や日用品が入手困難となります。つまり、食料品や日用品は、それぞれ家庭で備蓄しているものに頼らざるを得ないという生活が数週間~2ヶ月ほど続くことが考えられます。 さらに、人員不足、海外からの石油の輸入が一時的に減少するなどして、エネルギー不足が起こる可能性もあります。電気やガス、水道といったライフラインがストップすることがあるかもしれません。 市民の生活にも影響が出ます。職場や学校に行きたくても、バスや電車などの交通機関がマヒし、外出すること自体、困難な状況になります。国の行動計画でも示されているように、新型インフルエンザの流行が始まったら、密集したスペースに人々が多く集まるようなイベントは延期や中止になるなどして、行動が制限されます。 新型インフルエンザの流行によって、都市機能は崩壊し、現在の便利で豊かな生活は根本から覆されることになる…これらはあくまで想定ですが、実際に起こる可能性があるということを知っておくことが大事です。 【WHOによる新型インフルエンザの警戒レベル(フェーズ)区分】 | フェーズ1 | 新型インフルエンザウイルスは人から検出されていない。動物から人へ感染する可能性は低い。 | | フェーズ2 | 新型インフルエンザウイルスは人から検出されていないが、動物から人へ感染するリスクが高い。 | | フェーズ3 | 新型インフルエンザの人への感染が確認されているが、基本的には人から人への感染はない。 | | フェーズ4 | 人での小さな集団感染が認められるが、感染はごく限られた地域で、ウイルスはそれほど人に適合していない。 | | フェーズ5 | より大きな集団感染が認められる。人に完全に適合しているとはいえないが、適合力が増している。 | | フェーズ6 | パンデミック(世界的大流行)が発生し、人から人への感染が急速に拡大している。 | パンデミック自体を避けることが難しいならば、できる限り小さな被害で乗り切ることが大事になります。 被害を少なくするためには、流行のピークを低く抑え、地域全体の感染拡大をできるだけ遅らせることがポイントです。 【求められる対策】 ◎学校は、患者が出たらいち早く休校措置をとる。 ◎集会、興行など、人の集まる機会をなるべく減らす。 ◎流行時には、企業は時差通勤や在宅勤務を増やす。 ◎満員電車やバスを避け、人ごみにはなるべく近づかない。 ◎一人一人が予防対策をとる。 ◎実践するには、国や自治体をはじめ、医療機関や企業、家庭、個人の協力が必須です。 危機を乗り切るために、それぞれに求められる対策についてもう少し具体的にみてみましょう。 | 【国の対策】 | 強いリーダーシップによる対策作成 情報の提供と共有 新型インフルエンザの封じ込め ワクチン政策 抗ウイルス薬の備蓄 パンデミック時の行動制限など | | 【自治体、医療機関の対策】 | 水道の安定供給や社会サービスの確保 発熱相談センター、発熱外来の設置 医療機関の組織連携づくり 医療体制の充実 一人暮らし対策など | | 【学校の対策】 | 迅速かつ正確な情報の提供、収集 児童または保護者の健康観察 学校閉鎖の対策 各イベントの延期、中止 学校備蓄品の確認など | | 【企業の対策】 | 期間事業を最低限の人員で継続する事業計画の策定 在宅勤務体制の増進 感染防護用品の備蓄(マスクなど)など | | 【家庭、個人の対策】 | 新型インフルエンザの正しい知識と理解 家族全員での行動計画づくり 食料品、日用品、医薬品などの備蓄 感染防止対策(外出を控える) 自宅療養の準備など | パンデミック発生時には、マスクなどの感染防止用品の品切れが予想されますし、食料品や日用品なども品薄状態になる可能性が高いので、事前にしっかりとした準備が必要です。その時になって焦って買いだめをするのではなく、平時のうちに必要なものは準備しておきましょう。 【備蓄品チェックリスト 例】 感染防止品 | 食料品 | 日用品 | □体温計 □マスク □うがい薬 □ゴム手袋 □ゴーグル □消毒薬 □ビニール袋 | □主食 □菓子類 □インスタント食品 □レトルト食品 □栄養補助食品 □調味料 □スキムミルク | □ティッシュ類 □ラップ類 □歯磨き粉 □洗剤 □せっけん □ごみ袋 □生理用品 | 家庭内治療品 | 災害対策用 | その他 | □解熱剤 □胃腸薬 □持病の処方薬 □冷却剤 | □簡易コンロ □ガスボンベ □ラジオ □携帯充電器(手動式) □ロウソク □懐中電灯 □簡易トイレ | □飲料水 □電球 □電池 □使い捨てカイロ □粉ミルク | ▲ページ上部へ |